童謡「めだかのがっこう」の歌詞の意味や背景をピアノ伴奏の歌唱動画&童謡子育て体験談とともに詳解(茶木 滋作詞・中田喜直作曲)

めだかのがっこう illustrated by Ayako
目次

童謡『めだかのがっこう』の魅力と動画

童謡『めだかのがっこう』(茶木 滋作詞 中田喜直作曲)は、日本の在来魚であるメダカの群れが小川を仲良く泳ぐ様子を描いた、時代を超えて愛される名曲です。

気持ちよさそうに泳ぐメダカを見ると、自然とこのメロディが心に浮かぶ方も多いのではないでしょうか?

わが子は、まだおしゃべりができない頃から、ピアノ伴奏でうたう『めだかのがっこう』が大好きでした。この曲のイメージを0歳のわが子に伝えるため描いた一枚の絵に、ピアノ伴奏と歌を重ねて動画を制作したのが、私の童謡活動のはじまりです。

2歳になった今では、この曲をおともにビオトープでのメダカを飼育にもチャレンジしています。 この記事では、歌の動画とともに、歌詞や曲の背景、動画制作のこだわり、そして童謡『めだかのがっこう』に関する子育てエピソードをご紹介します。

※本記事に掲載している動画(ピアノ伴奏・歌・イラスト)は、AI生成ツール等は一切使用せず、すべて当サイトの運営者が自ら演奏・歌唱・作画をして丁寧に制作した完全オリジナルコンテンツです。

童謡『めだかのがっこう』の歌詞と作品の背景

歌詞

作詞:茶木 滋 作曲:中田喜直

めだかの学校は
川の中
そっとのぞいて
みてごらん
そっとのぞいて
みてごらん
みんなでおゆうぎ
しているよ。

めだかの学校の
めだかたち
だれが生徒か
先生か
だれが生徒か
先生か
みんなでげんきに
あそんでる。

めだかの学校は
うれしそう
水にながれて
つーいつい
水にながれて
つーいつい
みんながそろって
つーいつい。

歌詞の意味:「つーいつい」は流れに向かって力いっぱい泳ぐ様子を描く

この曲の詩は全体に、小さなお子さまでもイメージしやすい平易な日本語によって、描かれています。その中で、3番の「つーいつい」はあまり聞き馴染みがないことばですよね。一般に水の中を泳ぐ擬態語で使われるのは、「すーいすい」ですよね。「つーいつい」は、どなたも馴染みがないのではないでしょうか?

既往文献中にも、この点について作詞者の詳しい説明を見出せませんでしたので、大のメダカ好きである私の解釈を申し上げます。

「つーいつい」の謎を解くカギは、ずばりメダカの生態にあります。メダカが小川を泳ぐ姿を想像してみてください。実はメダカなどの魚は、流れに乗って「すーいすい」と流されて泳ぐのではありません。むしろ、水の流れに向かって(逆らって)泳ぎ、同じ場所にとどまり続けます。これは、居心地のよい場所から流されてしまわないようにと備わっている本能(流れ走性)のため。

この様子は、小さな体で力いっぱい元気に流れに向かっていくメダカのたくましさを感じませんか?この形容にはラクラク水流に乗っていくイメージの「すーいすい」よりも、力強さを感じる「つーいつい」のほうがしっくりきますよね。

曲の背景:子育て現場では外せない名曲『めだかのがっこう』

童謡「めだかのがっこう」は、茶木 滋氏(1910年~1998年)が作詞、中田喜直氏が作曲を手がけた作品です。小川でメダカたちが元気に泳ぎまわる様子を描いた、幼児向けの童謡の代表作ともいえる名曲です。

1952年3月のNHKラジオの番組「幼児の時間-歌のおけいこ」で初めて放送されると、またたく間に全国のお子さまたちの間で親しまれるようになりました。その後1954年(昭和29年)には、レコードが発売され、文部省芸術選奨文部大臣賞を受賞するなど、高い評価を受けています。

今では、国内の幼稚園や保育園などの子育ての現場では、この曲を歌わないところはないといってもいいほど、世代を超えて歌い継がれています

メダカの群れを例えた作詞者の息子さんの言葉に着想

童謡「めだかのがっこう」が誕生したのは、1950年(昭和25年)10月のこと。作詞者の茶木 滋さんが、NHKのラジオ番組から「春らしい明るい子どもの歌を」という依頼を受けたことがきっかけでした[1][2]。

この詩のヒントになったのは、茶木さんの6歳になる息子さんが、小川でメダカの群れに出会ったときに言った言葉だったそうです[3]。お子さまならではのみずみずしい感性が、この名曲の出発点になったのですね。

戦後の日本童謡界の第一人者による作曲

茶木滋氏の原詩に曲をつけたのは、当時、新進気鋭の作曲家だった中田 喜直氏です。

中田喜直氏は、『夏の思い出』『いたずらすずめ』『かわいいかくれんぼ』『小さい秋みつけた』等、だれもが一度は耳にしたことがある名曲を数多く生み出した、戦後の日本童謡界を代表する作曲家です。

この『めだかのがっこう』の旋律については、『サっちゃん』などの作詞で知られる童謡作家の坂田寛夫氏も、自著の中で、「時間の経過と心の緊張が、音楽によって表現された名作」と高く評価しています[4]。

“時間の経過と心の緊張が、音楽によって表現された名作”

阪田寛夫, 「童謡でてこい」, 河出書房新社, 1986年 [4]

作曲者が込めた「繰り返しの魔法」

作曲者の中田喜直氏はこの曲をより魅力的にするために、ある工夫を加えました[1]。

それは、1番の「そっとのぞいてみてごらん」、2番の「だれが生徒か先生か」、3番の「水にながれてつーいつい」というフレーズを、それぞれ2回ずつ繰り返すことです。

中田氏には、「童謡は繰り返したほうが安定し、覚えやすい」とのお考えがあったそうです [3]。このさりげない工夫が、何世代にもわたってお子さまたちに愛され、歌い継がれる理由のひとつになっているのかもしれません。。

【制作秘話】動画に込めたこだわり:イラスト・伴奏・うたのポイント

イラスト:メダカの生命力を描き出す「影」と「波」

『めだかのがっこう』の美しいメロディを聴くと、太陽の光が降り注ぐせせらぎで、楽しそうに遊ぶメダカの群れが目に浮かびます。静かだけれど、水の中では元気いっぱいに動き回るメダカたち。

そんな生命力あふれる小さなメダカを描くにあたって、私が一番こだわったのは、「影」「波」です。

浅い川底に映る影と、水面に広がるわずかな波紋。これらをイラストに描き入れることで、静かなせせらぎで元気に泳ぐメダカの躍動感を表現できるよう意識しました。

ピアノ伴奏:繰り返しのフレーズに隠された「魔法」

「そっとのぞいてみてごらん…、そっとのぞいてみてごらん…(1番)」
「だれが生徒か先生か…、だれが生徒か先生か…(2番)」
「水にながれてつーいつい…、水にながれてつーいつい…(3番)」

声だけで歌うと、同じ言葉とメロディの繰り返しに聞こえますが、ピアノ伴奏と一緒に聴いてみると、1回目と2回目で印象がガラリと変わることに気づかれるはずです。

静かなせせらぎの流れとメダカの動き

実はピアノ伴奏の譜面では、繰り返しの1回目と2回目で、音の強弱や和音の組み合わせが変えられています。

メダカはとても俊敏な生き物ですよね。そっとのぞいても、一瞬でパッと隊形を変えてしまいます。私はこの繰り返しの2回目を弾くとき、メダカがさっと動いたあとに残る小さな波紋や、川底から舞い上がった土の粒子など、メダカたちの「元気な動きの余韻」をイメージしています。

アルペジオ(ずらした和音)で水の流れを表現

この繰り返し部分の和音には、音を少しずつずらして弾く「アルペジオ」という記号がついています。

このわずかな音のズレが、さらさらと流れる水の動きを感じさせてくれるのです。さらに2回目を少しだけ小さく、陰影をつけるように響かせると、波紋がふわっと広がって消えていくような、奥行きのある情景が浮かび上がります。

名作曲家が仕掛けた「せせらぎの魔法」

この曲をピアノ伴奏する際のポイントは、譜面にある記号をひとつひとつ大切に、素直に弾くことです。それだけで、中田喜直さんが仕掛けた魔法がかかり、目の前にメダカたちが泳ぎだしてくれます。

うた:やさしく、静かに語りかけるように

この曲のピアノ伴奏は、歌い手を主役にしてくれるよう、全体的に控えめな音量で作られています。
だからといって、歌う側が大声を出すと、驚いたメダカたちが隠れてしまいます。メダカを驚かせないよう、やさしく静かに語りかけるイメージで歌うのがポイントです。

ピアノと同じように、歌も繰り返しの2回目は少しボリュームを落としてみてください。1回目と2回目で表情をしっかり変えることで、曲の世界観がぐっと深まります。

【童謡子育て体験談】ビオトープで再現したわが家の小さな『めだかのがっこう』

私が「めだかのがっこう」をピアノで弾き歌いするのが大好きな理由は、この曲を奏でるだけで、せせらぎを泳ぐメダカの群れや、それをそっとのぞき込む自分の姿が、頭の中に鮮明に浮かんでくるからです。

メダカの群れを「学校」に例えたユニークな歌詞。そして、せせらぎの流れや「つーいつい」と流れに向かって泳ぐメダカの動きを見事に演出するピアノ伴奏。メダカ好きな方なら、この曲を聴くだけで、まるで川辺で実際に観察しているようなワクワクした気持ちになれるはずです。

作曲家の中田喜直氏自身も大のメダカ好きだったそうで、この曲については、「詞をみてぱっと曲を作った記憶がある」とおっしゃっていたそうです[3]。

自然の情景を、これほどまでに緻密で芸術的なメロディに落とし込めたのは、中田氏が幼少期からメダカに親しみ、自身の経験に基づいた具体的なイメージを持っていたからこそなのでしょう。

わが子と一緒に、本物のメダカを観察したい

わが子が赤ちゃんの頃から、私は何度もこの曲をピアノで弾いて歌ってきました。今ではわが家にとって、すっかり日常の一曲です。「子どもがこんなにこの曲を好きなら、ぜひ本物のメダカを一緒に観察したい!」と思うのが親心ですよね。

わが家の近くには、夏の夕暮れにホタルが見られる、透き通った美しいせせらぎがあります。そこを毎日のようにわが子とお散歩しては、そーっと川面をのぞき込んでいました。けれど、自然の中でメダカの群れを見つけるのは、至難の業。じっと気配を消して静かに待つのは、小さな子どもにとってはなかなか難しいものです。

お庭の睡蓮鉢に広がる、小さな「めだかの学校」

そこで昨年からは、自宅の睡蓮鉢でメダカを飼うことにしました。
ホームセンターで色々な種類のメダカを眺めましたが、わが子にとっては、赤ちゃんの頃から見てきた私のイラストの「赤いメダカ」こそがメダカだったようです。「どのメダカが好き?」と聞くと、毎回「これ!」と赤い「楊貴妃メダカ」を指さしていました。

自宅にお迎えしてからは、お世話の試行錯誤が始まりました。

できるだけ自然に近い環境で育てる「ビオトープ」スタイルなので、水温が上がりすぎないように工夫したり、天敵から守ったりと大変なこともありますが、気持ちよさそうに泳ぐメダカをじっと眺めることが、今ではわが子の日課になっています。

本物の川ではありませんが、庭の睡蓮鉢という小さな自然の中で、元気に泳ぐメダカの姿はとても涼やかです。
何より、じっと集中してメダカを観察できるようになったわが子の成長がうれしく、静かで幸せな親子時間をかみしめています。

まとめ:童謡「めだかのがっこう」がつなぐ自然と子どものふれあい

童謡「めだかのがっこう」は、小川で仲良く泳ぐメダカたちの姿を鮮やかに描いた、日本を代表する名曲です。

この曲の最大の魅力は、ピアノの旋律がメダカのしなやかで俊敏な動きや、水の流れをまるで見ているかのように再現している点にあります。これほどまでに豊かな表現が生まれたのは、作曲家自身が幼い頃からメダカが大好きで、その生態を肌で感じていたからこそ

「本物を知っている」という実体験からくる具体的なイメージが、このような素晴らしい創造の源になったのでしょう。

実体験の積み重ねを、お子さまたちへ

今は、昔のように身近な小川でメダカの群れを見かける機会は少なくなってしまいました。けれど、最近では都市部でもビオトープを作るなど、失われつつある原風景を守る活動が広がっています。わが家でも、庭の睡蓮鉢という小さな「自然」を通じ、わが子がメダカにそっと寄り添う姿を見守っています。

童謡を通じてイメージを膨らませ、実際の観察を通じて命の輝きに触れる——。

こうした経験の積み重ねが、お子さまの豊かな感性を育んでいくのだと実感しています。

これからも、お子さまたちが歌詞のように「そーっとのぞいて」本物の自然に触れられる環境を、大切に守り伝えていきたいですね。

この記事が、みなさんとお子さまが自然とのふれあいを楽しむきっかけになれば幸いです

参考文献

[1] 上笙一朗, 「日本童謡事典」, 東京堂出版, 2005年

[2] 横山太郎・岩崎一彰, 「童謡大学 童謡へのお誘い」, 自由現代社, 2001年 

[3] 読売新聞文化部, 「唱歌・童謡ものがたり」, 岩波書店, 1999年, p.18-21

[4] 阪田寛夫, 「童謡でてこい」, 河出書房新社, 1986年

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