童謡「たんぽぽ」の歌詞と背景をピアノ伴奏のうた動画&童謡子育て体験談とともに詳解(葛原しげる作詞・本居長世作曲)

たんぽぽ illustrated by Ayako

童謡「たんぽぽ」の歌詞と背景をピアノ伴奏のうた動画&童謡子育て体験談とともに詳解(葛原しげる作詞・本居長世作曲)

目次

童謡「たんぽぽ」の魅力と動画

みなさまは、葛原しげる作詞・本居長世作曲の童謡「たんぽぽ」は知っていましたか?

現在、あまり広くは知られていないように思います。

私自身、昨年初めて知りました。

この曲は幼児の暮らしに身近なタンポポを主題にしているため、子育て中に使い勝手が良く、今では私たち親子にとっては、外遊びの時間には欠かせない存在です。

ここではうた動画とともに、歌詞や曲の背景、制作のこだわり、童謡「たんぽぽ」に関する子育てエピソード、うたあそびのアドバイスなどをご紹介します。

※本記事に掲載している動画(ピアノ伴奏・歌・イラスト)は、AI生成ツール等は一切使用せず、すべて当サイトの運営者が自ら演奏・歌唱・作画をして丁寧に制作した完全オリジナルコンテンツです。

童謡「たんぽぽ」の歌詞と作品の背景

歌詞

作詞:葛原しげる 作曲:本居長世

たんぽぽ たんぽぽ 
たんぼのたんぽぽ
たくさんの たんぽぽ 
ぽぽぽぽ たんぽぽ

あったかいかぜが 
そよそよそよ

みつばちこばちが 
ぶんぶんぶん


たんぽぽ たんぽぽ 
たんぼのたんぽぽ
たくさんの たんぽぽ 
ぽぽぽぽ たんぽぽ

かわいいちょうちょ 
ひらひらひら

まひるのおひさま
きらきらきら

曲の背景

童謡「たんぽぽ」は、「十五夜お月さん」「赤い靴」「七つの子」「めえめえ児山羊」などの作品で知られる有名作曲家、本居長世氏(1885年~1945年)による作曲作品です。

本居長世氏は、作曲家として活動し始めた頃は器楽曲や歌劇曲などの作曲を手掛けていますが[1]、大正期の童謡運動の興りとともに多数の童謡曲を作曲されました。

作詞は、「夕日」で知られ、幼年童謡に力をいれた葛原しげる氏(1886年~1961年)によります。

葛原氏の童謡作品は、幼い子どもでもイメージしやすい単純明快な内容と表現による作風で知られています。

【制作秘話】動画に込めたこだわり:イラスト・伴奏・うたのポイント

イラスト:シンプルにかわいらしく、歌詞の世界を形に

童謡『たんぽぽ』の歌詞は、まるで幼児のことば遊びのよう。

そのシンプルでかわいらしい印象を大切にするため、イラストもあえて凝りすぎず、親しみやすいタッチで描くことを意識しました。

お子さんと一緒に動画を見たときに、歌詞のイメージが真っ直ぐに伝わるような、優しい世界観を目指しています。

ピアノ伴奏:しっとりした「大人びた響き」を大切に

しっとりとした雰囲気を漂わせる「変ホ長調」

かわいらしい詩とは対照的に、メロディには前奏からとても大人っぽく、落ち着いた雰囲気が漂います。

幼児が親しむ身近な花を題材として単純明快な詩でうたいながらも、変ホ長調というしっとり落ち着いた雰囲気の調性をとっていることによります。

絶妙な「転調」が景色を変える

この曲には、作曲家・本居長世氏による繊細な仕掛けがあります。途中でパッと短調(ハ短調)に切り替わることで、景色がふわりと変わる様子が表現されているのです。

前半8小節はおだやかに変ホ長調で進行します。そこへ突然、9小節目(あったかい風が~)から変ホ長調の平行調であるハ短調に転調し、急に景色が変わります。そして最後2小節(みつばちこばちが~)で再度変ホ長調に戻しています。

この転調が、単なる「子どもの歌」に終わらない、深みと繊細さを与えています。

やわらかく包み込むような演奏

ピアノ伴奏は、両手ともにオクターブ奏法が取り入れられています。これにより音の厚みを増し、曲に壮大な印象を与えています。

このオクターブ奏法。あまり強く弾きすぎると、この曲のしっとりした良さが消えてしまいます。手首や指を柔らかく保ち、包み込むような優しい音色で演奏することを心がけました。

うた:移り気な「子どもの心」を叙情的に

身近な「たんぽぽ」を題材にしながら、ドラマチックで壮大な曲調に仕上げられているのがこの曲の面白いところ。一見ちぐはぐな組み合わせが、実は子どもの豊かな情感を表現しています。。

歌唱のアドバイス

実際に歌ってみると、転調の瞬間にふと切ない気持ちになり、また次の転調でふっと穏やかな気持ちに戻る……。そんな「移り気な幼児の心」を追体験しているような不思議な感覚になります。

歌うときは、元気にかわいく歌うよりも、少し叙情的に、優しく語りかけるように歌ってみてください。そうすることで、子どもの心の動きをより豊かに表現できるはずです。

【童謡育児体験談】『たんぽぽ』を歌って気づいた、子どもが風に抱く「切なさ」

庭先や公園、田んぼのあぜ道……。どんな場所でもパッと目を引く黄色いタンポポは、子どもたちにとって一番身近な友だちです。花を摘んでも綿毛を吹いても、大人に怒られることなく無心に遊べる、まさに「自由の象徴のような花ですよね。

2歳になったばかりのわが子にとっても、童謡『たんぽぽ』は大のお気に入り。私が前奏を口ずさむと、自然に歌い出しから声を合わせてくれます。

この曲の素晴らしいところは、幼児が知っている言葉だけで、身近な情景が描かれていること。メロディには凝った仕掛けがあるのに、子どもにとっては不思議と歌いやすいようで、わが子もすっかりマスターしています。

「わたげ、なくなっちゃうかなぁ……」

そんなある日のこと、親子でこの歌を楽しみながらタンポポで遊んでいて、ふと気づいたことがありました。

子どもにとってタンポポの最大の魅力は、なんといってもフワフワ飛んでいく「綿毛」です。風に乗ってどこまでも飛んでいく様子に、幼い心は強く惹きつけられるようです。

先日、強い風が数日続いたときのこと。窓の外を見つめていたわが子が、ぽつりとこぼしました。
「わたげ、なくなっちゃうかなぁ……」

旋律に隠された「センチメンタル」の正体

その瞬間、ハッとしたのです。
この曲の中盤、「あったかいかぜが〜」の部分で、なぜ急にメロディが切なく、センチメンタルな雰囲気に変わるのか。それまで私は深く考えていませんでしたが、わが子のその一言で、すとんと腑に落ちました。

「温かい風」は、春を運んできてくれる嬉しい存在であると同時に、大好きな綿毛を遠くへ連れ去ってしまう「お別れの風」でもある。
作曲家の本居長世氏は、そんな幼児期特有の、言葉にならない繊細な心の揺れを、あのわずかな転調に託したのではないでしょうか。

わが子の真っ直ぐな言葉が、名曲に隠された「優しさ」を教えてくれた、そんなひとときでした。

まとめ:小さな心に寄り添う名曲『たんぽぽ』

童謡『たんぽぽ』は、子どもたちが大好きな身近な花をテーマに、まるで言葉遊びのようなシンプルで可愛らしい歌詞で綴られた一曲です。

そこに作曲家・本居長世氏のこだわり抜かれた美しい旋律が重なることで、単なる「子どもの歌」を超えた、芸術的な深みを持つ名曲に仕上がっています。一見ちぐはぐにも思える「シンプルな言葉」と「緻密なメロディ」の組み合わせこそが、幼い心の中に眠る豊かな情景を、見事に描き出しているのです。

この曲は、小さなお子さまでも覚えやすく、口ずさみやすいのが魅力です。
美しい旋律に乗せて歌ってみると、いつもの元気な歌声とは少し違う、どこか哀愁漂うしっとりとしたお子さんの表情が見られるかもしれません

春の光の中で、ぜひ親子で一緒に『たんぽぽ』のメロディを楽しんでみてくださいね。

参考文献

[1] 上笙一朗, 「日本童謡事典」, 東京堂出版, 2005年

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