童謡『かえるのうた』の魅力と動画
皆さんは「かえるのうた」と聞いて、どんなメロディを思い浮かべますか?
きっと多くの方が、「かえるのうたが きこえてくるよ♪」というフレーズでおなじみの、ドイツ民謡をルーツとした『かえるの合唱』をイメージされるのではないでしょうか。
実は、日本オリジナルの童謡にも、カエルたちの様子がとっても可愛らしく描かれた、素敵な『かえるのうた』があります。
作曲は日本を代表する作曲家の團伊玖磨さん、作詞は関根栄一さん。このお二人が手がけた『かえるのうた』は、まるで目の前でカエルが鳴いているような、ライブ感たっぷりの生き生きとした表現が魅力です。
わが家にとっての「カエルの歌」といえば、断然こちら!一度聴いたら、皆さまの中の「カエルの歌」のイメージも、きっとこの曲に塗り替えられてしまうはずです。ぜひ、わが子と一緒に聴いてみてくださいね。
童謡『かえるのうた』の歌詞と作品の背景
歌詞
作詞:関根栄一 作曲:團伊玖磨
かえるの こどもは
まだ なけないの
ないて いるのは
あれは おとうさん
ケロケロ コロコロ ′
かえるの こどもは
まだ なけないね
こども だからね
あれは おかあさん
ケロケロ コロコロ
曲の背景:カエルたちが生き生きと歌い出す!二人の天才が描いた「本物」の音色
童謡『かえるのうた』は、日本を代表する作曲家の團伊玖磨(だん いくま)さんと、数多くの名作童謡を生み出した詩人の関根栄一さんがタッグを組んで誕生しました。
二人の巨匠によって作られたこの曲を聴くと、まるで目の前で本物のカエルが元気に鳴いているような光景が、鮮やかに浮かんできます。
日本を代表する作曲家の感性で、カエルの声を味わう贅沢
團伊玖磨さんといえば、戦後の日本音楽界をリードし、オペラ『夕鶴』など日本的な情緒あふれる作品を数多く残した天才作曲家です。
そんな團伊玖磨さんが、日本人にとってなじみ深い「夏のカエルの大合唱」をどのように捉え、どんな音階で描き出したのか。童謡『かえるのうた』は、初夏から夏にかけての日本の風物詩を、時代を超えて團さんの感性とともに味わえる、とても贅沢な一曲なのです。
子どものあどけない心で観察した、リズミカルなメロディと詩
團伊玖磨さんは『ぞうさん』や『やぎさんゆうびん』など、子どもの純粋な心に寄り添った名曲をたくさん作曲されています。また、作詞の関根栄一さんも『おつかいありさん』などで知られる、幼児の視点を描く名人です。
この『かえるのうた』も、「ケロケロ コロコロ」という楽しいリズムや、「かえるのこどもは まだなけないの」といった、小さなお子さまならではの無邪気な視点が可愛らしく表現されています。
聴いているだけで思わず笑顔になり、弾むようなメロディに誘われて、あなたもきっと体が動き出してしまうはずですよ。
【制作秘話】動画に込めたこだわり:イラスト・伴奏・うたのポイント
イラスト:田んぼでほほえむ、カエルの親子
この曲を聴いたとき、皆さまはどんな光景を思い浮かべますか?
私は、水田に囲まれて育ったこともあり、水を張った田んぼから聞こえてくるアマガエルの大合唱を真っ先に思い出しました。
ただ、よく考えてみると、カエルが鳴くのはあたりが静まり返った夜のこと。カエルの鳴き声は聴こえても、実際に鳴いている姿をじっくりと観察したことがある方は少ないかもしれません。私自身、音色は鮮明に思い出せても、「大合唱中のカエルの姿」はなかなかイメージできませんでした。
そこで、子どもの頃に遠くで鳴くカエルの声を聴きながら思い描いていたような、「アニメチックで可愛らしいカエル」をイラストにしました。田んぼの水の波紋にのって、カエルたちの歌声が響いてくるような、温かい雰囲気に仕上げています。
ピアノ伴奏:一音一音が「生きているカエルの音」
この曲のピアノ伴奏は、単なるメロディの引き立て役ではありません。一つひとつの音に團伊玖磨さんの感性が光っており、伴奏そのものがライブ感あふれる「カエルの合唱」を表現しています。
聴いていると、まるでたくさんのカエルたちが田んぼからぴょん!と飛び出してくるような、生き生きとした響きを感じていただけるはずです。
のどかで平和な田園風景を「ヘ長調」で描き出す
『かえるのうた』は、のどかで牧歌的な印象を与える「ヘ長調」で書かれています。
少し離れた場所から聞こえてくる音が、優しく包み込むように響くのがこの調性の魅力。それがまさに、日本の原風景である田んぼから響くカエルの大合唱にぴったりなのです。この曲を聴くと、のどかな田園風景が目の前に広がるような感覚になるのは、この調性の魔法のおかげかもしれません。
スタッカートを効かせて、カエルの大合唱を響かせる
この曲を生き生きとさせる最大のポイントは、第3~4小節目にある「カエルの合唱」の表現です。
- 「クワックワックワックワックワッ♪(第3小節)」
- 「クワックワックワックワックワッ♪(第4小節)」
さらに5小節目からは、歌声も重なってきます。
- 「クワックワックワックワックワッ/かーえるの…♪(第5小節)」
ピアノを弾くときは、左手の和音にしっかりと「スタッカート」を効かせて、短く跳ねるように弾くのがコツです。そうすることで、元気いっぱいに鳴くカエルの声にそっくりな、楽しい響きになりますよ。
重低音を効かせて、ヒキガエルも合唱に参加!
カエルの「大合唱」が聞こえ始める第3~4小節目では、和音の「低い音」を少し強めに意識するのがポイントです。
重低音にもしっかりスタッカート(音を短く切る奏法)を効かせることで、アマガエルの中に大きなヒキガエルが混じって歌っているような、深みのある大合唱になります。
「一瞬の静寂」が表現する、カエルたちの不思議な生態
カエルらしさを演出するもう一つの鍵は、小節の終わりの「お休み(8分休符)」をしっかり守ること。次の鳴き声が始まる前に、一瞬の「間」を作るのです。
カエルの合唱って、なぜか一斉に鳴き止んだり、また一斉に始まったりしますよね。この一瞬の静寂を入れることで、そんなカエルたちの不思議な行動がリアルに伝わってきます。
鳴き声だけじゃない!「ぴょん!」と跳ねるジャンプもピアノで表現
この曲の「生きているカエル」は、前奏の一音目からすでに始まっています。
曲の最初と最後の2小節の左手には、実は特別な仕掛けがあるんです。楽譜をよく見ると、小さな「装飾音符」にナチュラル(本位記号:♮)がついていて、ここだけあえて曲全体の雰囲気とは違う音色が出るようになっています。
この音を強調して弾くと、鳴き声とはまた違う「カエルがぴょんと元気に跳ねる動き」が浮かんできます。ここは音に合わせてジャンプしたくなるような力強さを込めて演奏しました。
水に「ぽちゃん!」と飛び込むストーリーを感じて
前奏で「ぴょこぴょこ」と跳ねていたカエルが、最後には「ぽちゃん!」と水に飛び込んで姿を消す――。
曲の最初と最後をリンクさせることで、そんな物語のような流れをイメージしました。水辺で元気に遊ぶカエルたちの姿を想像しながら聴いてみてくださいね。
音のつながりで広がる、子どもの想像力
「あれは おとうさん」「あれは おかあさん」と、幼い子どもが一生懸命に説明してくれるような歌詞の部分。ここでは、これまでの跳ねるような音から一転して、音をなめらかにつなぐ「スラー」という奏法を取り入れています。
丁寧な音のつながりを感じることで、子どもの知識や想像力がぐんぐんと膨らむ広がりを演出しました。
うた:カエルの鳴き声や動きを、全身で楽しみながら
童謡『かえるのうた』は、鳴き声だけでなく、ぴょこぴょこと跳ねる姿や、水に飛び込む音など、「生きているカエル」のさまざまな表情をピアノの音色で描いています。
歌うときのポイントは、ピアノが奏でるカエルの動きを思いっきり楽しむことです。
私は、わが子と一緒に歌うとき、歌が始まる前の部分でも「クワックワックワックワックワッ♪」と鳴き真似を入れて盛り上がっています。また、最後の「ケロケロ コロコロ」の部分では、親子でしゃがみこんでから「ぴょーん!」と高くジャンプするのがお決まりの遊び方です。
團伊玖磨さんが仕掛けた「音の魔法」にかかると、自然と体が動き出します。
ぜひ、お子さまと一緒にカエルになりきって、賑やかな合唱を楽しんでみてくださいね。
【童謡子育て体験談】:かえるの「こども」はいつから鳴くの?わが子と見つけた「カエルの真実」
私たち親子は、田植えが終わった頃から、あぜ道にしゃがみこみ、生き物観察をするのが日課です。6月になった今、田んぼをのぞきこめば、元気に泳ぎ回る大小さまざまなおたまじゃくしの姿が見られ、わが子も興味津々です。
「おたまじゃくしはカエルになるんだよ。」と教えると最初は「???」と不思議そうにしていたわが子。その後、一緒に図鑑でカエルの生態を調べ、「おたまじゃくしからカエルへと姿を変える(変態する)」ことを知ると、ますます興味が沸いたようです。
そんな時、わが子の口から飛び出したのは、「“かえるのこども”はおたまじゃくしなの?」という一言でした。
きっと、童謡『かえるのうた』の歌詞にある「かえるのこどもはまだなけないの」というフレーズが頭に浮かんだのでしょう。実は、動画を制作した段階では、この歌詞にある「かえるのこども」は、おたまじゃくしではなく、カエルの形態になったあとの若いカエルのことと解釈していました。なので、動画のイラストには、カエルの姿しか描いていませんでした。それゆえに、わが子は混乱した様子でした。
たしかに言われてみれば、この「まだ鳴けないカエルのこども」とは、一体だれのことなのでしょうか?
まだ鳴けない「かえるのこども」とはだれのこと?
では、カエルたちは一体いつから鳴き始めるのか?調べてみると、アマガエルの場合、夏にカエルの姿になったばかりの「こども」はその年はまだ鳴けず、冬眠を経て翌年の春、繁殖期を迎えてからようやく鳴き始めるそうです。
つまり、童謡『かえるのうた』の歌詞にある「かえるのこどもはまだ鳴けないの」というのは、驚くほど正確な事実だったのです。
あどけない想像じゃない!観察に基づいた高度な「科学的知見」
私はこれまで、この歌詞を「子どもの自由な想像力」でカエルを説明したものだと思っていました。しかし、歌詞のフレーズを一つひとつ紐解いていくと、この曲でカエルを解説している子どもは、実は「かなりの手練れ」であることに気がついたのです。
実はこの歌詞、カエルの性別や成熟度を見分ける手順が、驚くほど合理的なのです。
この曲では、カエルを ①こども ②おとなのオス(おとうさん) ③おとなのメス(おかあさん) の3つの属性に分類していますが、その識別プロセスはまさに「カエル博士」の視点そのものでした。
1. 「おとうさん(成熟したオス)」の識別
まず、繁殖行動(鳴くこと)をしているかどうかを見ます。そもそも声を反響・拡大させる「鳴嚢(め いのう)」をもっているのはオスだけ。「ケロケロ コロコロ」と鳴いていれば、その個体は一発で「おとうさん」だと判断できます。
- 「こども」か「おかあさん(成熟したメス)」かの判別
次に、鳴いていない個体に着目します。ここでの判断基準は「体のサイズ」です。繁殖期のメスは、お腹に卵を抱えるため、オスや未成熟な個体に比べて一回り大きく、丸っこい体型をしています。
つまり、鳴かない個体の中で、相対的に体が大きいものを「おかあさん」と見抜いているのです。
私は、当初2番の歌詞も、1番同様に「鳴いているカエル」を指して、「あれはおかあさん」と幼児が自分の想像に基づいて説明しているものと思っていました。ただ、そうであれば、2番には「鳴いているのは」という言葉が入っていないのにはどんな意味があるのか。そう考えて歌詞を見直してみて、自分が歌詞の本当の意味にたどり着きました。
2番は、最初から観察の対象は、「鳴いていないカエル」で、「こどもかな?」と思っていたのが、途中で「あ、ちがう、あれはおかあさんだ!」と鋭い観察眼に基づいて認識を改めたと考えれば、歌詞の構成にも納得がいきます。
興味を持ったものに対するお子さまの情熱は、時として大人を軽々と凌駕します。この曲は、あどけない好奇心から出発して専門知識を身につけた、「小さなカエル博士」による生態解説ソングだったのですね。
これからの梅雨の季節、わが子とこの歌から学んだ知識を携えて、水田に広がる豊かな生態系をじっくりとのぞき込んでいきたいと思っています。
まとめ:歌えばもっと好きになる!発見がいっぱいの『かえるのうた』
今回ご紹介した團伊玖磨さん・関根栄一さんによる『かえるのうた』は、単なる童謡の枠を超え、カエルたちの生き生きとした生態と音楽の楽しさがギュッと詰まった一曲です。
天才たちが描いた本物のカエルのような響きは、ピアノ伴奏で味わってみてください。田んぼの賑やかな合唱やカエルの躍動的なジャンプを目の前に描いてくれます。
また、「カエル博士」の視点で描かれた歌詞も魅力の一つです。この曲の驚くほど科学的に正確な描写が、お子さまの純粋な観察眼を養ってくれます。
動画を観ながら鳴き真似をしたり、「あれはおとうさんかな?おかあさんかな、こどもかな」と図鑑で調べたり。童謡『かえるのうた』をきっかけに、親子の会話と学びが無限に広がります。
「おたまじゃくしがカエルになったね」「このカエル、まだ鳴かないね!」
そんな、外の世界と歌がつながる瞬間は、お子さまにとってかけがえのない体験になるはずです。
ぜひ今回の動画で『かえるのうた』の魅力を見つけてみてください。
これからの梅雨の季節、カエルたちが合唱する田んぼの景色を想像しながら、親子で楽しく歌い、跳ねて、素敵な時間を過ごしていただけたら嬉しいです。


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