童謡「ひらひらちょうちょう」の魅力と動画
みなさんは、童謡『ひらひらちょうちょう』(作詞:小林純一 / 作曲:中田喜直)をご存じでしょうか?
実は、私や私の周りでも「知らなかった」という人ばかりの名曲なんです。
でも、一度知ってしまうと不思議なもので、子どもと散歩中にちょうちょを見つけると、有名な『ちょうちょう』の歌よりも、親子揃ってこの『ひらひらちょうちょう』のメロディが自然に口からこぼれてくるようになります。
そんな知る人ぞ知る名曲の魅力とは、どういった点にあるのでしょうか?
この記事では、歌詞や曲の背景はもちろん、動画制作のこだわり、この曲を通じて実感した「童謡が持つ自然科学的な教育力」まで、体験談を交えてひも解いていきます。
童謡「ひらひらちょうちょう」の歌詞と作品の背景
歌詞
作詞:小林純一 作曲:中田喜直
ひらひら ちょうちょ
ひらひら とんで
あかい あかい
おはなに とまれ
ひらひら ちょうちょ
ひらひら とんで
しろい しろい
おはなに とまれ
曲の背景:有名作曲・作詞家コンビによる作品
童謡「ひらひらちょうちょう」は「いたずらすずめ」「めだかのがっこう」「かわいいかくれんぼ」「ちいさい秋みつけた」等で知られ、戦後の日本童謡作曲界の第一人者である中田喜直氏(1923年~2000年)による作曲作品です。
歌詞は、「あひるの行列」「みつばちぶんぶん」等の作品で知られ、多くの童謡詩を残した小林純一氏(1911年~1982年)により作詞されました。
現在あまり知られていない隠れた名曲
有名作曲家・作詞家コンビによる作品の割に、童謡「ひらひらちょうちょう」は、どういった訳か、現在一般に広く知られておらず、文献などでの情報も限られています。
私は、中田喜直・小林純一の共同編集により発刊された「現代こどもの歌名曲全集(音楽之友社)」[1]と、「新訂現代こどもの歌名曲全集(音楽之友社)」[2]からこの曲を発見しました。
【制作秘話】動画に込めたこだわり:イラスト・伴奏・うたのポイント
イラスト:蝶に誘われて遊ぶ、いつもの公園のひととき
『ひらひらちょうちょう』は、優雅なワルツの調べ(中田喜直・作曲)と、シンプルで分かりやすい歌詞(小林純一・作詞)が溶け合った一曲です。
童謡には珍しい、ゆったりとした3拍子のリズムがとても心地よく、聴いていると春の柔らかな日差しの中を舞うちょうちょの姿が目に浮かんでくるようです。
私自身、この穏やかなメロディを聴いたとき、「公園でわが子が蝶々を追いかけて駆け回る、いつもの散歩の光景」がぴったり重なりました。
動画のイラストには、そんなあたたかな光景をそのまま形にして添えています。
ピアノ伴奏:音の「重さ」と「軽さ」で描く優雅なワルツ
この曲を演奏する際のポイントは、ずばり「ゆったりと優美に」弾くことです。ポイントは以下の2点です。
1拍目と2・3拍目のコントラスト
左手で弾く1拍目の低音は、ペダルを使って深く、余韻をたっぷり響かせます。反対に、右手の2・3拍目はスタッカートで軽く弾ませるのがコツ。この「深い響き」と「軽快な跳ね」のギャップを作ることで、優雅なワルツの質感が生まれます。
「テヌート」を丁寧に
歌詞の「あかいあかい」の最後についたテヌート記号を意識して、音符の長さをしっかり保って伸ばしましょう。ここを丁寧に弾くだけで、曲にゆとりある味わいが生まれます。
伴奏譜自体はシンプルですので、この2点を意識するだけで、ぐっと素敵なワルツに仕上がりますよ。
うた:音程の「ジャンプ」を遊びに変えて
3拍子の曲は子どもたちには少し新鮮かもしれませんが、音域がそこまで広くなく歌詞も簡単なので、実は幼児さんでも覚えやすく歌いやすい一曲です。
歌唱のアドバイス
伴奏と同じく、「あかいあかい(1番)」「しろいしろい(2番)」の語尾をしっかり伸ばすのがポイントです。楽譜のテヌートを意識して、伴奏の響きに乗せるように歌ってみてください。
ここが面白ポイント!
この語尾の部分、実は急に音がポーンと高くなるので、少し音程がとりにくいかもしれません。でも、そこを逆手にとって「指を上にピョーンとあげるジェスチャー」を入れながら歌ってみるのもおすすめします!
音程の飛び跳ねを「あそび」に変えると、子どもたちもきっと楽しみながら歌ってくれるはずです。
【童謡子育て体験談】『ひらひらちょうちょう』が教えてくれた、子どもの鋭い観察眼
先日、子どもと公園を散策していたときのこと。一羽の黄色いちょうちょ(モンキチョウ)に出会いました。
私たちの足取りに合わせるように、同じ方向へ飛んでは花にとまり……を繰り返すちょうちょ。「まるで一緒に散歩しているみたいだね」なんて話をしながら、私はふと、この曲を口ずさみました。
「ズンチャッチャ、ズンチャッチャ♪」
前奏を歌うと、子どもも嬉しそうに「ひーらひらちょうちょ♪」と合流。1番の「あかい花」と2番の「しろい花」もしっかり歌い分け、楽しい合唱散歩になりました。
驚きの振り返り。見ていたのは「蝶」だけじゃなかった
驚いたのは、その日の夜です。寝る前にいつものように一日を振り返っていると、子どもが自らこんな話をしてくれました。
「黄色いちょうちょ、飛んでたね。黄色いちょうちょは、黄色いお花にとまってたね」
私が「白いお花にはとまらなかったの?」と聞くと、「うん。黄色だったよ」とハッキリしたお返事。実は私は、ちょうちょと一緒に歌を歌うことばかりに夢中で、蝶が何色の花にとまっていたかまでは全く気に留めていなかったのです。
でも、思い返してみれば……。道端にはシロツメクサなどの白い花や青いスミレも咲いていましたが、あの時ちょうちょが選んでとまっていたのは、膝丈ほどの黄色い菜の花ばかりだった気がします。
童謡が授けてくれた「観察のモノサシ」
私は散歩中、「ちゃんと歌詞通りに歌えるかな?」なんて、テストの採点者のような気分でぼんやり歩いていました。
けれど子どもにとっては、この歌の「1番は赤い花、2番は白い花」という歌詞の変化こそが、「ちょうちょは何色の花にとまるんだろう?」という好奇心のスイッチになっていたようです。
大人の私よりもずっと鋭い観察眼で、自然のありのままの姿を捉えていたわが子。その姿に、思わず感服してしまいました。
童謡には、ただ歌って楽しむだけでなく、自然科学的な視点を育むきっかけがぎゅっと詰まっている。そう再確認させてくれた、忘れられない出来事でした。
まとめ:初めてのワルツにぴったり!親子で楽しむ『ひらひらちょうちょう』
童謡『ひらひらちょうちょう』は、優雅に舞うちょうちょと、それを夢中で追いかける子どもたちの姿を、中田喜直氏の美しいワルツに乗せて描いた一曲です。小林純一氏によるシンプルで力強い言葉が、春の光の中にある「いのちの輝き」を真っ直ぐに伝えてくれます。
この曲の素晴らしさは、子どもたちの「ちょうちょを追いかけた!」という実体験と、歌詞の情景がピタッと重なること。外遊びを楽しみ始めたお子さまにとって、人生で最初に出会う「ワルツ」として、これほどふさわしい曲はないでしょう。
「百聞は一見に如かず」といいますが、まずはぜひ一度、動画でその音色に触れてみてください。きっと、次のお散歩がもっと楽しみになるはずですよ。
参考文献
[1] 中田喜直・小林純一編, 「現代こどもの歌名曲全集」, 音楽之友社, 1952年, p.37
[2] 中田喜直・小林純一編, 「現代こどもの歌名曲全集」, 音楽之友社, 1969年, p.75


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